脂肪豊胸のしこりの原因とは?自然に消えるものと放置する3つのリスク

脂肪豊胸後にできるしこりの種類や原因、放置するリスクを正しく理解し、適切な対処法を知ることが理想のバストを守るためには非常に大切です。自分自身の余分な脂肪を吸引してバストに移植する脂肪注入豊胸は、異物を使わないため触り心地も見た目も自然に仕上がる人気の施術です。しかし、術後に胸を触ったときにコリコリした硬い塊ができてしまい、不安や後悔を感じる方も少なくありません。この記事では、注入した脂肪が定着する仕組み、自然に消えるものと消えないものの見分け方、発生する主な原因、放置すると起こるリスクを分かりやすく解説します。脂肪豊胸 しこりで悩む方は一度ご相談ください。

目次

脂肪注入豊胸でできるしこりの種類とそれぞれの発生原因

壊死した脂肪が液状に溜まるオイルシスト

脂肪豊胸の施術において、最も初期段階で発生しやすいしこりの一種がオイルシストです。バストに注入された脂肪細胞は、周囲から酸素や栄養を運ぶための新生血管が通ることで初めて定着します。しかし、何らかの理由で血流が行き渡らなかった脂肪細胞は壊死してしまいます。壊死した脂肪細胞の膜が破れると、中の脂肪成分が液状のオイルとして漏れ出し、体内に溜まります。体はこのオイルを異物と判断して周囲に薄い膜を形成し、体内に吸収されないように閉じ込めようとします。これがオイルシストと呼ばれるしこりの正体です。触ると少し弾力があり、ブヨブヨとした感触を伴うことが多いのが特徴です。

脂肪細胞が塊のまま硬くなる充実性しこり

充実性のしこりは、壊死した脂肪細胞がオイル状に変化せず、細胞の形を保ったまま周囲の線維組織などと絡み合って硬い塊を形成したものです。注入された脂肪がひとつの場所に大きな塊として留まってしまうと、その塊の中心部まで酸素や栄養が全く届かなくなります。その結果、中心部の広い範囲の脂肪細胞が一気に死滅し、周囲の組織がそれを修復しようとして硬い線維の壁を作ります。触るとコリコリ、あるいはゴツゴツとしたはっきりとした硬さがあり、バストの深部や表面近くなど、注入された場所によって触れやすさが異なります。

カルシウムが沈着して硬化する石灰化

石灰化とは、体内で壊死した脂肪組織や、長期間放置されたオイルシストの周囲にカルシウムの結晶が沈着して、石のようにカチカチに硬くなってしまう現象です。人間の体は、処理しきれなくなった異物や死滅した組織を無害化しようとする防御反応を持っています。この防御反応の最終段階としてカルシウムが沈着するため、一度石灰化が完了したしこりは非常に硬くなり、触ると明らかに異物として自覚できるようになります。触診だけでなく、レントゲンやマンモグラフィ検査でもはっきりと写り込むようになります。

炎症や感染によって引き起こされる瘢痕組織

手術中の徹底した衛生管理が不足していたり、施術後の傷口から細菌が侵入したりすることで、乳房内で感染症や強い炎症が発生するケースがあります。感染や急激な炎症が起きると、体は細菌やダメージと戦うために大量の免疫細胞を送り込みます。その後の修復過程において、組織が引き攣れるように硬い傷跡である瘢痕組織を形成することがあります。この瘢痕組織によるしこりは非常に頑固で、周囲の健康な乳腺や脂肪組織を巻き込みながら硬くなるため、バスト全体の不自然な硬さやつっぱり感の原因となります。

脂肪豊胸によるしこりの正体は、定着せずに壊死した脂肪やその修復過程でできる組織です。これらは注入する脂肪の処理や丁寧な施術技術によって発生率を抑えることができます。

脂肪豊胸後のしこりで自然に消えるものと消えないものの違い

術後3ヶ月以内に自然に消える一時的なしこり

脂肪豊胸の施術後、1週間から数週間が経過したタイミングで胸に硬い部分を感じることがあります。しかし、この時期の硬さの多くは自然に消える一時的なものです。手術による物理的なダメージから回復するための腫れやむくみ、あるいは注入された脂肪が周囲の組織と馴染んで生着しようとする過程で起きる軽い炎症反応が原因です。また、ごく初期の小さなオイルシストや壊死した脂肪であれば、体が持っているマクロファージなどの免疫細胞が不要なものとして徐々に吸収してくれます。一般的に、術後2ヶ月から3ヶ月ほどかけてバストが徐々に柔らかくなり、それに伴ってしこりのような硬さも自然に消失していきます。

半年以上経過しても消えない治療が必要なしこり

一方で、術後6ヶ月以上、あるいは1年が経過してもしこりが残っている場合、それが自然に消えることはまずありません。この段階に達しているしこりは、すでに壊死した脂肪の周囲に非常に厚く頑固な膜が完成しており、体の吸収機能が及ばない状態になっています。さらに時間が経過するとカルシウムの沈着が進み、石灰化が本格化してさらに硬化していきます。どれだけ時間が経っても、マッサージやセルフケアでこれらを消失させることは医学的に不可能です。このような消えないしこりに対しては、専門的なクリニックでの超音波検査による診断と、注射器や特殊な器具を用いた除去治療が必要となります。

術後3ヶ月以内の硬さは組織の回復過程による一時的なものが大半ですが、半年を過ぎてもコリコリとした塊が残る場合は自然に消えません。早めにエコー検査を受けましょう。

脂肪注入後のしこりを放置する3つの重大なリスク

バストの形が崩れて左右差や凸凹が生じる

しこりをそのまま放置していると、周囲の健康な組織を引っ張るようにして収縮し、バストの見た目に大きな悪影響を及ぼします。特に皮膚の比較的浅い層にできたしこりが硬くなると、バストの表面に不自然な凸凹やうねり、引き攣れが目立つようになります。また、左右の注入バランスや定着率の違いによって、片方の胸だけに大きなしこりが形成されてしまうと、明らかな左右差が生じる原因にもなります。せっかく胸を大きく美しくするために行った豊胸手術であるにもかかわらず、バストの滑らかさや自然な触感、美しい形が損なわれてしまい、見た目の美しさに悩まされることになります。

しこり部分に炎症が起きて強い痛みや腫れを伴う

しこりとして体内に留まり続けた壊死脂肪やオイルシストは、体にとって慢性的な異物です。体調の変化や免疫力の低下、外部からの刺激などをきっかけに、しこりの内部やその周辺で急激な炎症反応が再燃することがあります。炎症が起きると、バスト全体が熱を持って赤く腫れ上がり、ズキズキとした強い痛みを生じるようになります。さらに最悪の場合、しこりの内部に細菌が感染して化膿し、膿が溜まる膿瘍を形成することもあります。こうなると、抗生物質の投与だけでなく、胸を切開して膿を排出する大掛かりな処置が必要となり、バストに大きな傷跡が残るリスクが高まります。

乳がん検診で悪性腫瘍との判別が難しくなる

医学的に最も深刻なリスクが、将来行う乳がん検診への悪影響です。石灰化したしこりや、周囲に炎症を伴う硬いしこりは、マンモグラフィや乳腺超音波検査において、乳がんの初期像と非常によく似た特徴的な影として写し出されます。そのため、検診のたびに要精密検査となり、何度も痛い針生検を繰り返す羽目になるケースが少なくありません。さらに問題なのは、豊胸によるしこりと本物の乳がんが同じバスト内に並んで存在している場合、がんの影がしこりの影に隠れてしまい、乳がんの早期発見が大幅に遅れてしまうという命に関わるリスクに繋がることです。

しこりを放置すると、見た目の悪化や痛みだけでなく、乳がんの早期発見を妨げる大きなデメリットがあります。ご自身の健康と美しいバストを守るため、放置は厳禁です。

脂肪豊胸によるしこりを防ぐための施術のポイント

一度に多量の脂肪を注入しない

脂肪豊胸においてしこりを作らないために最も重要な原則は、1回の施術で無理な欲張りをせず、適切な量の脂肪を注入することです。バストのサイズを一度に何段階もアップさせたいからといって、キャパシティを超える大量の脂肪を無理やり詰め込むと、移植された脂肪細胞同士が押し潰されて密着し、周囲の毛細血管から酸素や栄養を受け取ることができなくなります。その結果、注入した脂肪の大部分が定着せずに壊死し、巨大なしこりを形成することになります。安全にバストアップを図るためには、自身の胸の組織のゆとりを見極め、適切な注入量に留めることが重要です。

脂肪を細かく分散させて注入する

脂肪を注入する際、バスト内の1箇所にまとめて固まりとして入れてしまうと、その塊の中心部にある脂肪細胞には血流が届かず、確実に壊死してしこりになります。しこりを防ぐためには、マルチレイヤー(多層)注入法という高度な技術が必要です。これは、胸大筋の周囲、乳腺の裏側、皮下組織など、異なる複数の層に対して、非常に細いカニューレを用い、針を引きながら細かく分散させて、まるで糸を引くように少しずつ脂肪を敷き詰めていく手法です。これにより、個々の脂肪細胞が周囲の組織から効率よく栄養を吸収できるようになり、定着率が飛躍的に向上します。

不純物を取り除いたクリアな脂肪を使用する

脂肪吸引によって採取したばかりの脂肪の中には、生きた脂肪細胞のほかに、血液や麻酔液、水分、そして吸引時に傷ついて死んでしまった死活細胞や老化脂肪などの不純物が大量に混ざり合っています。これらをそのままバストに注入してしまうと、不純物が炎症を引き起こす原因となり、周囲の元気な脂肪の定着を妨げ、しこりの発生率を著しく高めてしまいます。しこりを防ぐためには、遠心分離や特殊なろ過技術を用いて不純物を徹底的に分離し、生きが良く濃縮された純粋な脂肪細胞を精製して使用することが不可欠です。

美しい仕上がりとしこり予防の両立には、徹底した脂肪の不純物除去と、多層に細かく分散して注入する医師の高度な技術が何よりも大切になってきます。

脂肪豊胸のしこりに関するよくある質問

脂肪豊胸後のしこりはマッサージで潰しても大丈夫ですか

バストにできたしこりを、マッサージをして力任せに潰そうとするのは絶対にやめてください。まだ完成していないしこりを無理に強く揉んだり押し潰そうとしたりすると、周囲の正常に定着しつつある脂肪組織や新生血管を破壊してしまい、出血や強い炎症を引き起こす原因になります。炎症が悪化すれば、かえってしこりの範囲が広がったり、石灰化を早めたり、組織の引き攣れを深刻化させたりする結果を招きます。しこりが気になった場合は触りすぎず、速やかに施術を受けたクリニックや豊胸の修正治療を行っている専門医に診てもらうのが鉄則です。

しこりの除去手術はどのような方法で行われますか

しこりの除去方法は、そのしこりの状態や大きさ、硬さ、発生からの期間によって異なります。術後数ヶ月以内のまだ柔らかいオイルシストの段階であれば、エコー画像でしこりの正確な位置を確認しながら、細い注射針を刺して内部の液状化した脂肪をきれいに吸い出す穿刺吸引という比較的体への負担が少ない処置で治療が可能です。一方で、時間が経って石灰化し、硬く大きくなってしまったしこりに対しては、特殊な破砕器具や脂肪吸引器を用いて内部を細かく砕きながら吸引する方法や、バストの下の目立たない部分を小さく切開して、しこりを直接包み込んでいる被膜ごと外科的に摘出する手術が行われます。

脂肪豊胸のしこりは乳がんに変化することがありますか

脂肪豊胸のしこりが原因となって、それが将来的にがん化して乳がんに変化することは、医学的に一切ありません。脂肪豊胸でできるしこりの正体は、定着しなかったご自身の脂肪細胞が壊死したものや、それに伴うカルシウムの沈着、あるいは傷跡の組織であり、これらはすべて完全な良性の変化です。遺伝子の変異によって発生する悪性腫瘍である乳がんとは発生の仕組みが根本的に異なります。ただし、しこりがあることで実際の乳がんの発見を遅らせてしまうという二次的なリスクは十分に考えられるため、決して楽観視せず定期的な乳房の管理を行うことが必要です。

しこりの除去治療は保険適用になりますか

基本的には、美容目的で行われた自由診療の合併症に対する治療となるため、しこりの除去手術や検査も保険適用外の自由診療になることがほとんどです。ただし、しこり部分が重度の細菌感染を起こして化膿し、高熱が出たり、激しい痛みや腫れを伴う急性乳腺炎のような状態に陥った場合で、乳腺外科などにおいて病気の治療として緊急の消炎処置や切開排膿が必要と診断されたケースでは、その急性期治療の一部が保険適用として扱われることがあります。費用や治療法については、事前に受診するクリニックで詳しく確認することをお勧めします。

藤林万里子
形成外科専門医:グラムルールクリニック銀座 院長
グラムルールクリニック院長の藤林万里子と申します。私は日本形成外科学会認定専門医および日本美容外科学会(JSAPS)正会員として、美容医療に携わってまいりました。患者様の理想とする美しさを実現し、自信に満ちた毎日を送っていただくためのサポートを全力で行ってまいります。

【主な資格】
日本形成外科学会 認定専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
【経歴】
2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
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