アクアフィリングで死亡事故は起きている?リスクや後遺症を正しく理解する

アクアフィリングによる死亡例は国内の公的な医療機関の調査では報告されていませんが、深刻な合併症が潜んでいる可能性があるため注意が必要です。この記事では、バストアップ施術として普及したアクアフィリングの安全性に関する真実や、万が一のリスクとして考えられる深刻な病状について詳しく解説します。アクアフィリング 死亡で悩む方は一度ご相談ください。

目次

アクアフィリングによる死亡報告の有無と安全性の実態

国内外における死亡事例の調査結果

アクアフィリング(またはロスライン)は、成分の約98パーセントが水分、残りの約2パーセントがポリアミドという合成高分子で作られた充填剤です。手軽に豊胸ができる注入法として日本国内でも一時期広く行われていました。結論から述べますと、日本国内においてアクアフィリングの施術が直接的な原因となって死亡したという公的な報告は、現在のところ確認されていません。厚生労働省や日本美容外科学会(JSAPS)などの調査においても、死亡事故としての記録は見当たりません。

しかし、死亡例がないからといって、この物質が完全に安全であると言い切ることはできません。死亡には至らなくとも、乳房の切除を余儀なくされたり、全身に炎症が広がって生死を彷徨ったりするような重篤な合併症の報告は多数存在します。海外においても、同様の成分を用いた注入剤で深刻な健康被害が相次いでおり、一部の国では使用が禁止、あるいは強く制限されているのが現状です。

日本美容外科学会が警鐘を鳴らす理由

日本国内で最も権威のある美容外科組織の一つである日本美容外科学会(JSAPS)は、アクアフィリングを含む非吸収性充填剤による豊胸術に対して、極めて否定的な立場をとっています。2018年には、安易な使用を控えるべきだという声明も出されました。これは、注入された物質が数年経ってから体内で予期せぬ挙動を示し、健康を著しく損なうケースが多発したためです。

非吸収性充填剤に関する声明の内容

学会の声明では、アクアフィリングのような物質は体内で分解・吸収されず、組織に癒着したり移動したりするリスクが非常に高いと指摘されています。特に、注入後に感染症を引き起こすと、抗生剤の投与だけでは完治させることが難しく、外科的な洗浄や除去が必要になる点が強調されています。死亡報告がないのは、あくまで日本の高度な医療体制によって最悪の事態が防がれている側面があるからかもしれません。

海外でのトラブル事例と国内の現状比較

アクアフィリングは、欧州などではロスラインという名称で流通していましたが、成分であるポリアミドの安全性が疑問視され、多くの国で規制が進みました。日本では「水が主成分だから安全」「数年で吸収される」といった誤った説明で広まった時期がありましたが、実際には体内に残り続け、深刻な後遺症を引き起こすケースが後を絶ちません。死亡例の有無だけでなく、生活の質を根本から破壊するリスクに目を向ける必要があります。

死亡例がないという言葉だけで安心するのは危険です。実際には摘出手術が必要になるほどの重症例が数多く報告されており、学会でも注意喚起がなされている事実を重く受け止めるべきでしょう。

アクアフィリングで死に至るリスクがある深刻な病態

全身に菌が回る敗血症の脅威

アクアフィリングに関連して、最も死に直結する可能性が高い病態は敗血症です。敗血症とは、体内のどこかで発生した感染症が原因で、細菌やその毒素が血液に乗って全身に広がり、多臓器不全を引き起こす非常に危険な状態です。アクアフィリングは異物であるため、一度細菌が入り込むと細菌の温床(巣)になりやすく、免疫細胞が届きにくいという特徴があります。これにより、通常の感染症よりも重症化しやすく、迅速な治療が行われなければ命を落とす危険性があります。

血管内への注入による肺塞栓症の可能性

注入施術全般に言えるリスクですが、誤って太い血管内にアクアフィリングが注入されてしまった場合、その物質が血流に乗って肺の血管を詰まらせる肺塞栓症を引き起こす可能性があります。肺塞栓症は、呼吸困難や急激な血圧低下を招き、即死に至ることもある恐ろしい合併症です。豊胸術では大量の薬剤を注入するため、解剖学的な知識が乏しい医師が施術を行った場合、こうした致命的なミスが起こるリスクはゼロではありません。

広範囲な組織壊死と二次的な全身疾患

アクアフィリングが周囲の組織を圧迫したり、強烈な炎症反応を引き起こしたりすると、乳房の組織が壊死(細胞が死ぬこと)してしまうことがあります。壊死した組織からは毒素が放出され、それが全身の臓器に負担をかけます。また、広範囲の壊死は敗血症を誘発する最大の原因となります。組織の壊死が進むと、胸の一部を失うだけでなく、全身の状態が悪化して長期的な入院や高度な救急救命処置が必要になることも珍しくありません。

敗血症や肺塞栓症は、美容外科の範囲を超えて救命救急センターでの対応が必要となる命に関わる事態です。高熱や激痛がある場合は、一刻も早い受診が求められます。

アクアフィリングが体に及ぼす長期的な悪影響

マイグレーションと呼ばれる充填剤の移動

アクアフィリングの最大の特徴であり、かつ最大の欠点は、体内で移動(マイグレーション)することです。注入直後は形が整っていても、時間の経過とともに重力や筋肉の動きによって、脇の下、腹部、背中、あるいは鼠径部(足の付け根)まで流れていくことがあります。移動した先でしこりを作ったり、炎症を起こしたりするため、全身のあちこちに痛みや違和感が生じることになります。この移動した充填剤をすべて完全に除去するのは、現代の医学をもってしても極めて困難です。

異物反応による慢性的なしこりと痛み

体は、アクアフィリングを「異物」とみなして排除しようとします。その結果、充填剤の周囲に厚い膜(カプセル)ができたり、硬いしこり(肉芽腫)が形成されたりします。これにより、バストが岩のように硬くなったり、変形したりして、常に重苦しい痛みを感じるようになる方が多くいます。この慢性的な炎症状態は、精神的なストレスにもなり、日常生活に大きな支障をきたします。

乳がん検診への悪影響と診断の遅れ

アクアフィリングを注入していると、マンモグラフィやエコー検査において、充填剤が影となって乳がんの病変を隠してしまうことがあります。また、充填剤によるしこりなのか、がんによるしこりなのかの判別が非常に難しくなり、精密検査を繰り返す必要が出てきます。もし乳がんが発生していた場合、発見が遅れることは死に直結する大きなリスクとなります。検診を断られるケースも増えており、健康管理の上で大きな障壁となっています。

注入物が移動してしまうと、どこで悪さをし始めるか予測がつきません。また、乳がん検診を正しく受けられないことは、女性にとって将来的な生存率を左右する重大な懸念事項です。

トラブルを未然に防ぐための除去と対策

早期除去が推奨される具体的な症状

もし過去にアクアフィリングを受け、以下のような症状がある場合は、早急に専門医に相談し、除去を検討すべきです。

  • 注入した部分が赤く腫れて熱を持っている
  • 胸だけでなく、脇や腹部にしこりが移動してきた
  • バストの形が明らかに左右非対称になった、あるいは変形した
  • 常にズキズキとした痛みや違和感がある
  • 皮膚が薄くなっている、または皮膚を突き破って中身が出てきた

これらの症状は、体内でのトラブルが限界に達しているサインです。放置すればするほど、周囲の組織への癒着が進み、除去が難しくなるだけでなく、健康被害が拡大します。

アクアフィリング除去手術の難易度と注意点

アクアフィリングの除去は、注入する際の何倍も難しく、高度な技術を要します。アクアフィリングは生理食塩水で洗えば流れると説明されることもありますが、実際には組織の隙間に入り込み、ドロドロとした状態で癒着しているため、洗浄だけですべてを取り除くことは不可能です。無理に取り除こうとして健康な組織まで傷つけてしまうリスクもあります。そのため、アクアフィリング除去の経験が豊富で、超音波エコーなどを駆使して精密な手術を行える医師を選ぶことが不可欠です。

除去手術後の経過とケア

除去手術を行っても、一度ダメージを受けた組織が完全に元通りになるわけではありません。しかし、炎症の元となっている充填剤を取り除くことで、痛みやさらなる悪化のリスクを劇的に下げることができます。手術後は、組織の回復を促すために適切なアフターケアが必要となり、場合によっては複数回に分けて除去を行うこともあります。

除去を先延ばしにするほど、リスクは蓄積されていきます。不安を感じているなら、まずはエコー検査などで現在の状態を可視化することから始めてみてください。

アクアフィリングに関するよくある質問

アクアフィリングは本当に10年もつのですか?

多くのクリニックでは「5年から10年もつ」と説明されてきましたが、これは「体内に残り続ける」という意味でもあります。10年経っても吸収されず、組織の中に残り続けてトラブルを起こすケースが非常に多いため、長期維持をメリットと捉えるのは危険です。むしろ、体内で分解されないからこそ、長期間にわたって炎症や移動のリスクに晒され続けると考えるべきです。

他院で受けたアクアフィリングの相談も可能ですか?

はい、もちろんです。アクアフィリングのトラブルで悩む方の多くは、施術を受けたクリニックが閉院していたり、相談しても適切な対応をしてもらえなかったりするケースが目立ちます。当院のような修正手術を専門的に扱う医療機関では、他院での施術内容を問わず、現状の診断と最適な解決策の提示を行っています。一人で抱え込まずに相談してください。

痛みがない場合でも除去したほうが良いのでしょうか?

現在痛みや違和感が全くない場合でも、将来的な健康リスクを考えると、除去を検討する価値は十分にあります。特に、今後妊娠や授乳を希望されている方や、定期的な乳がん検診を安心して受けたい方は、問題が起こる前に取り除いておくことが推奨されます。一度エコー検査を受け、充填剤がどこにどのような状態で存在しているかを確認しておくことが、将来の安心につながります。

除去手術をすれば乳房の形は崩れませんか?

除去する量や組織の状態によりますが、大量の充填剤を取り除いた場合、バストのボリュームが減ることは避けられません。しかし、皮膚のたるみや変形を最小限に抑えるように丁寧に手術を行うことで、見た目の美しさを守ることは可能です。また、組織が完全に落ち着いた後であれば、安全な方法(自分の脂肪を使った脂肪注入など)で再びボリュームアップを検討することもできます。まずは健康を取り戻すことが最優先です。

藤林万里子
形成外科専門医:グラムルールクリニック銀座 院長
グラムルールクリニック院長の藤林万里子と申します。私は日本形成外科学会認定専門医および日本美容外科学会(JSAPS)正会員として、美容医療に携わってまいりました。患者様の理想とする美しさを実現し、自信に満ちた毎日を送っていただくためのサポートを全力で行ってまいります。

【主な資格】
日本形成外科学会 認定専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
【経歴】
2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
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